松井 智則
2000年アッシュペーフランス株式会社に入社。2006年アタッシェ・ドゥ・プレス「PR01.」エグゼクティブディレクターに就任。国内外約50のブランドのPR及びブランディング・コンサルティング事業を手がけ、2010年にはファッションイベントroomsLINKを立ち上げた。
Text:山田 真弓 Photo:稲垣 徳文
ファッション関係の仕事をしている人には、クオバディス愛用者がたくさんいます。PR01.のスタッフももちろんそう。僕自身は、知り合いのスタイリストさんが使っているのを見て、スケジュール管理にいいなと思い使い始めました。実はそれまでは手帳を使っていなかったんです。自分の時間管理を意識したことがなかったのかもしれません。
2005年に使い始めてから、クオバディスの1週間見開きフォーマットのアジェンダプランニングを使っていますが、これまでいろいろなタイプを選んで、使い勝手を試しています。一番初めはたくさん書き込めるものがいいと思い「プレジデント」を選びましたが、デスクだけでなく打ち合わせなどに持ち歩こうと思うと大きすぎました。それで翌年は「トリノート」にしました。ちょうど、PR01.がスタートする直前でしたね。
そもそもPRの仕事は、スタイリストさんに服の貸し出しをすることが多いので、以前はスタイリストさんとのアポイントメント=僕のアポイントメントでした。それで、スケジュールそのものをスタッフ全員に共有してもらうようになっていきました。つまり、クオバディスをデスクにおいて、誰でも書き込め、チェックできるようにしたんですね。
さらに2008年になるとエグゼクティブディレクターの仕事がメインとなり、ミーティングなど人と会う機会がグッと増え、特に夜からの打ち合わせや深夜の会食も入るようになりました。その頃使っていたトリノートは22時までしか書き込めないので、下のメモ欄にも22時以降のスケジュールを書き足していました。そのときに、24時間スケジュールが書き込める「エイチ24/24」があると教えてもらったんです。PRの仕事をしている人間にとっては、ぴったりです。
ただ「エイチ24/24」はダイアリーらしくはあるけれど、自分らしくはないなと感じていました。絵を描くのが好きなので、スケジュール欄には予定を、それ以外の場所はフリーにと本当に自由に使ってきていたのですが、「エイチ24/24」だと上から下までスケジュール欄なので、文字ばかりになってしまって。やはり、そうしたちょっとした遊びの余白部分が欲しいなと思った矢先に、今使っている「アジェンダスコップ」に出合いました。アクセサリーブランドYOSHiKO CREATiON PARiSのYOSHiKOさんが使っていらっしゃったんです。持ち運びやすさも、見た目も、すごくおしゃれだと思いました。持った時のクラッチバッグのような、長方形のデザインに惹かれました。その日のうちに何冊か買って、日本で友だちにもプレゼントしたくらいです。
これなら、ダイアリーにスケジュールを書き込めるし、見開いた上のページには、たっぷりとした余白部分があって、自由度が高い。ふと書き込んだ、ちょっとした絵やアイデアから、次の仕事につながっていくこともありますよね。
僕の場合は、クオバディスは完全にパブリックなものと考えています。スタッフが共有するスケジュールの管理のためのツールですが、それ以上に常に人に見せることを意識した物なのです。ある意味、クオバディスを持つことで、自分が思い描く理想の男性像を示しているのかもしれません(笑)。男のオフィスのデスクにあるものとしてふさわしい1冊を選びたいと思っています。使い終わった過去のクオバディスも、自宅の本棚に並べてあります。美意識の一つですね、きっと。
またカバーは、身にまとうものがブラックのものが多いので、映えるカラー…赤やオレンジを選ぶことが多いですね。これも、見せる要素の一つかもしれません。
プレスの仕事をしているとワンシーズンごとに変わっていくものの中に身をおくことになります。自由奔放な人柄にも見られたりしますし、実際に、規則正しい生活を送ることは難しい。でもだからこそ、自分を律しておきたい面もあります。
それもあって職人気質的な「変わらないもの」への憧憬があるのだと思いますね。軸をしっかりして、「今」に寄り添いすぎない。僕はこう見えて(笑)キレイ好きですし、意外と礼儀には厳しいほうかもしれません。
ですから鞄の中もシステマティック。電子器具とそのほかの小物が入った2つのポーチで区切り、スッと物が取り出せるようにしています。その一つとしてクオバディスはふさわしい。これは誰かに見せたいと言うよりは、こだわりです。
このきちんとした感じが、ライフスタイルというよりは、僕の人生観にあっているのだと思います。自分の美意識を高められる手帳がクオバディスなのではないでしょうか 。